「文化は違っても、人間としての根っこは同じはず」
そう思えることは、異文化への開かれた姿勢の表れでもあります。しかしその善意が、組織文化の違いをかえって見えにくくしてしまうことがあります。今回はCQ(文化的知性)の5段階モデルから、その落とし穴を読み解きます。
「共通点」への気づきは成長の証、でも・・・
CQの発達を示す5段階モデルでは、第3段階を「最小化」と呼びます。この段階の人は、文化の違いを表面的には認めながら、「とはいえ人間みんな同じ」「本質的には変わらない」という視点で捉える傾向があります。
最小化の段階に至った人は、それ以前の段階と比べて、異文化への拒絶や否定が少なくなっています。「違う」と感じることに居心地の悪さを感じるのではなく、「共通点を大切にしよう」という前向きな姿勢を持っています。これはたしかに一つの成長です。
しかし問題は、「共通点があるから大丈夫」という安心感が、組織文化の違いを直視することを妨げてしまう点にあります。
善意が「違い」を覆い隠すとき
最小化の段階では、こんな言葉がよく聞かれます。「慣れてくれば分かり合える」「ビジネスはどこも同じ」「熱意があれば通じる」。
この言葉の背後にあるのは、善意です。しかしそれは同時に、相手の組織文化や異文化的な背景を「特別に理解しなくてもいいもの」として扱ってしまうリスクを含んでいます。
たとえば、意思決定のスピード感や合意形成のプロセスは、組織文化によって大きく異なります。「熱意があれば伝わる」と信じて動いたとき、相手が重視していた「プロセスの丁寧さ」や「権限者との事前調整」を飛ばしてしまっていた——そんな行き違いは、最小化の段階にいると気づきにくいのです。
異文化との協働でうまくいかないとき、「こんなに誠実にやっているのに」という感覚が残るのは、しばしばこの段階の特徴です。
「同じ」から「違いを知る」へ踏み出すために
最小化の段階を超えるとは、「違いを拒絶しないこと」から「違いを積極的に理解しようとすること」へ移行することです。CQの5段階モデルでは、次の第4段階を「受容」と呼びます。受容とは、異文化の論理を自分の枠組みで判断するのをやめ、「その文化にはその文化の合理性がある」と理解しようとする姿勢です。
この移行には、自分の組織文化を「当たり前」ではなく「一つの選択肢」として相対化する視点が必要です。
Lincqordでは、CQの5段階モデルを活用したチームの現在地の把握と、段階を超えるための支援を行っています。「うちのチームはどの段階にいるのか」という問いから始めてみませんか。




