BLOG: 失敗したら「ルールを増やす」組織文化。不確実性回避が生む摩擦

「同じ失敗をしないために、まずルールを整えよう」
「失敗から学んで、次を試してみよう」
どちらも誠実な反応のように見えますが、組織文化によって「正しい失敗の後始末」の形は大きく異なります。このズレが、チームの対応方針をめぐる異文化摩擦を生みます。
 

失敗を「脅威」と見る組織と「情報」と見る組織


ホフステードの6次元モデルに「不確実性の回避」という次元があります。あいまいさや予測できない状況に対して、どの程度の不安を感じ、それを排除しようとするかを示す指標です。

不確実性を強く回避する組織文化では、「なぜそんなことが起きたのか」「再発しないためにどんなルールが必要か」という方向に議論が向かいます。マニュアルや手順書が増え、チェック項目が整備されます。これが安心を取り戻す方法です。

一方、不確実性への耐性が高い組織文化では、失敗は「次のアクションへの情報」として受け取られます。「何を学んだか」「どう試し直すか」という問いが中心になり、細かいルールより状況への柔軟な対応が重視されます。失敗そのものは、組織の成長材料とみなされます。

「なぜすぐ動くのか」「なぜルールばかり増えるのか」


この違いは、プロジェクトが想定外の事態に直面したときに露わになります。不確実性回避が高い組織文化では、「前例のない対応」をするために事前確認と手順の整備を求めます。「決まっていないことはできない」という感覚が、慎重さとして組織に根づいています。
しかし、不確実性への耐性が高い文化側からすると、この慎重さは「動けない組織」に映ります。問題は動きながら解決すればいいという前提があるからです。逆に、ルール重視の文化からすれば、確認もなく動く姿勢は「無責任」として見えます。

失敗後に「ルールを作る」側と「次を試す」側が同じチームにいると、再発防止策の合意にさえ時間がかかります。能力の差でも、仕事への真剣さの差でもありません。「失敗とどう向き合うか」という組織文化の前提が、根本的に異なるのです。
 

「失敗への向き合い方」を言語化することから始める


異文化間でこの摩擦を乗り越えるためには、まず「私たちの組織は失敗をどう受け取るか」を問い直すことです。ルールで封じるアプローチと学びで前進するアプローチ——それぞれの背景にある「安心感の定義」を共有することで、相互理解の入り口が開きます。どちらのアプローチも、不確実な状況に対処しようとする誠実な意図から来ています。

Lincqordでは、ホフステードの6次元モデルを活用した組織文化の診断を通じて、チームが持つ「不確実性との付き合い方」を可視化する支援を行っています。失敗後の対応方針が噛み合わないと感じたとき、それは組織文化を理解し直す貴重な手がかりかもしれません。そのすれ違いを、対話の出発点にしてみませんか。
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