「なぜいちいち上司に確認するのか」
「なぜ指示もないのに勝手に動くのか」
同じチームなのに、こうした戸惑いが生まれることがあります。その根底に、組織文化が定めた「どこまで自分で判断するか」の暗黙の境界線があります。
「なぜ指示もないのに勝手に動くのか」
同じチームなのに、こうした戸惑いが生まれることがあります。その根底に、組織文化が定めた「どこまで自分で判断するか」の暗黙の境界線があります。
「正解は上が持つ」文化と「良いアイデアはどの階層からも」の文化
ホフステードの6次元モデルに、「権力格差」という次元があります。組織のなかで権力の不平等をどの程度当然のものとして受け入れるかを示す指標です。
権力格差が大きい組織文化では、上司が判断を下し、部下はその指示に従うことが前提です。「正解は上が持っている」という暗黙の了解があり、自分の判断で動くことは慎重さに欠けると見なされることがあります。上司に確認を重ねることが、誠実さの証になる文化です。
一方、権力格差が小さい組織文化では、部下も積極的に意見を持つことを期待されます。良いアイデアは組織のどの階層からも発信されるべきという前提があり、自分で考えて動くことが「有能さ」の証として評価されます。部下が上司に「相談を求められる」ことが、健全な組織の姿とされます。
「ちゃんと確認している」と「なぜ一人で抱え込む?」のすれ違い
この差が、異文化環境での日常的な摩擦を生みます。権力格差の大きい組織文化では、こまめな報告や確認が信頼の証とされます。上司を飛び越えた行動は「軽率」に映り、段階を踏むことが重視されます。報告の頻度が高いほど、誠実に仕事に向き合っている証になります。
ところが、権力格差の小さい文化側からすると、頻繁な確認は「自分で判断できない人」という評価につながることがあります。問題は自分で解決し、必要なときだけ上に相談するのが「仕事のできる人」の姿です。逆に、進捗を細かく報告されると「なぜ自分で動けないのか」と感じることさえあります。
こうして「なぜいつも上に確認するのか」「なぜ何も報告してくれないのか」という相互の違和感が積み重なっていきます。どちらも間違っていません。ただ、組織文化が定めた「自律の定義」が、根本的に異なっているのです。
「委ねる範囲」を言語化することが出発点
異文化間で権力格差の違いが生む摩擦は、「どちらが正しいか」を議論しても解消されません。まず自分たちの組織文化がどのような権限委譲の前提を持っているかを言語化することが、最初の一歩です。「この判断はどのレベルで行われるのか」「誰の承認が必要か」を明示するだけで、「指示待ち」と「越権」のすれ違いの多くは減らせます。
Lincqordでは、ホフステードの6次元モデルを用いた組織文化の診断と、異文化間での協働設計を支援しています。「どこまで自分で動くか」の境界線を一緒に引き直してみませんか。




