「なぜあの人はいつも早く帰るのか、本気じゃないのでは」「なぜそんなに遅くまで働くのか、効率が悪いのでは」——評価の言葉が、相手には批判に聞こえる。こうしたすれ違いの背景に、企業文化が定める「何をもって優秀とするか」の違いがあります。
「成果に向かって競う文化」と「整えながら協調する文化」
ホフステードの6次元モデルには「達成志向 vs 生活の質志向」という次元があります。仕事における動機づけの源泉が「達成・競争・勝利」にあるか、「協調・ケア・バランス」にあるかを示す指標です。
達成志向の強い企業文化では、高い目標への意欲と成果を上げることが最上の美徳とされます。長時間働くことは責任感の証であり、昇進や評価は個人の業績によって決まります。「もっと上を目指す」姿勢こそが誠実さを示します。
一方、生活の質志向の強い企業文化では、チームの調和と持続可能な働き方が重視されます。「秀でることより、良い人であること」が評価の軸であり、残業よりも規則正しい勤務で成果を出すことが有能さの証です。長時間働くことは、効率の問題として捉えられることもあります。
「なぜもっと頑張らないのか」「なぜそこまで無理するのか」
この違いが表面化するのは、評価面談やプロジェクトの終盤です。達成志向の強い側からすれば、定時で帰る人は「コミットメントが低い」に見えます。逆に、生活の質志向の強い側からすれば、長時間残業を厭わない人は「効率が悪い」か「組織がバランスを大切にしていない」と映ります。
さらに難しいのは、「何が称賛されるか」がチームの雰囲気をつくるということです。達成志向の強い組織では、夜遅くまで働いている人を「頑張っている」と見る視線が生まれます。しかし同じチームに生活の質志向の強いメンバーがいれば、「評価軸が自分に合わない」という組織文化への違和感が蓄積していきます。
能力や意欲の問題ではありません。「何をもって優秀とするか」という企業文化の定義が、根本的に異なっているのです。どちらも正しく仕事と向き合っているのに、評価の基準が交差しない。それが異文化摩擦の正体です。
「評価軸」を言語化することから始める
異文化間でこの摩擦を減らすためには、「私たちのチームは何を評価するのか」を明文化することが重要です。成果の質なのか、投入した時間なのか、チームへの貢献なのか——評価軸を可視化するだけで、互いの「当たり前」のズレが言語化されます。暗黙の基準を共有の言葉に変えることが、最初の一歩です。
Lincqordでは、ホフステードの6次元モデルを活用した組織文化の診断を通じて、チームが持つ「暗黙の評価軸」を可視化する支援を行っています。評価軸の定義を共有できるチームは、異文化環境においても互いの貢献を正しく認め合えるようになります。まずはお気軽にご相談ください。




