BLOG:「感情を見せない」がプロらしさの証?文化が変える職場の信頼のかたち

「なぜあの人はいつも笑顔で、真剣みが感じられないのか」「なぜあの人はいつも表情が硬く、距離を感じるのか」——互いの「プロとしての振る舞い」が、相手には違和感として映る。この背景に、企業文化が定める「感情表現の許容範囲」の違いがあります。

「真面目さ」が信頼の証になる文化、「笑顔」が信頼の証になる文化


ホフステードの6次元モデルに「充足的 vs 抑制的」という次元があります。人生の喜びや欲求を比較的自由に満たそうとするか、社会的な規範によって抑制するかを示す指標です。

抑制志向の強い企業文化では、職場での感情表現は慎むべきものとされます。穏やかで真面目な態度が信頼とプロフェッショナリズムの証とされ、感情を表に出しすぎることは「軽薄」「真剣みがない」と受け取られるリスクがあります。笑顔でいること自体が、疑わしさの証として映ることさえあります。

一方、充足志向の強い企業文化では、感情を自然に表現することが誠実さや活力の証です。職場でのポジティブな態度や笑顔は当たり前のこととされ、感情を抑えている人は「壁がある」「信頼しにくい」と映ることがあります。笑顔は、協働への意欲を示すサインです。

「なぜそんなに明るいのか」「なぜそんなに暗いのか」の摩擦


この違いは、異文化環境での日常業務やプレゼンテーションの場面で摩擦を生みます。充足志向の強い文化側は、感情を表に出しながら積極的にコミュニケーションをとることが「良い仕事をしている」姿です。しかし抑制志向の強い文化側からすると、「感情的すぎる」「軽い」と映ることがあります。

逆に、抑制志向の強い文化の人が感情を表に出さずに業務に徹すると、充足志向の文化側は「冷たい」「やる気がないのでは」と感じます。同じ「プロとしての振る舞い」を目指しているのに、その定義が真逆なのです。

「プロらしさ」は客観的な基準ではありません。企業文化が育てた「感情と仕事の付き合い方」の前提が、それぞれの「普通」を形づくっています。能力や誠実さの問題としてではなく、文化の違いとして理解する視点が、摩擦を減らす第一歩になります。

 「感情の見せ方」を組織で問い直す


異文化環境で感情表現の違いが生む摩擦を減らすには、「私たちの組織では職場での感情表現はどのように扱われているか」を意識的に問い直すことが出発点です。自分たちが「当たり前」だと思っている振る舞いが、相手の企業文化では「不思議」に映っている可能性があります。その前提のズレを言語化するだけで、相互理解の入り口が開きます。

Lincqordでは、ホフステードの6次元モデルを活用した組織文化の診断を通じて、「企業文化が育てたプロらしさの定義」を可視化する支援を行っています。あなたの職場では、感情表現はどのように扱われていますか。その問いを立てるだけで、見えていなかった文化の前提が浮かびあがることがあります。
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